公益社団法人敦賀青年会議所2021年度理事長所信 スローガン 新緑萌芽 第62代理事長 林 昇平

はじめに

 我々、敦賀青年会議所は昨年創立60周年を迎えましたが、その周年の年はまさに激動の1年でした。新型コロナウィルス感染症の世界的大流行は、日本国内にも多大なる影響を与えました。阪神淡路大震災や東日本大震災、度重なる豪雨災害、風害、雪害など、これまで幾多の自然災害を経験してきた日本においても、まったく予期できないものであった今回の災禍は、今もなお人々を苦しめています。
 しかし、我々日本人はこれまで経験してきた数多くの災害を、すべて乗り越えてここに立っています。かつて、第2次世界大戦の戦禍から立ち直り、幾多の自然災害を乗り越えて、世界が驚愕する経済成長を遂げた日本。我々が今、この豊かな時代を享受できているのは、度重なる苦悩に立ち向かい、そのたびに打ち勝ってきた先人たちのおかげなのです。そして、その中心にいたのは紛れもなく青年であった事実を忘れてはいけません。我々は今、世界中を巻き込んだ「国難」の中にいます。そんな今こそ、青年としての使命と責任を自覚し行動しなければなりません。地域に根差す青年団体として、withコロナの時代に即した「明るい豊かな社会」を芽吹かせましょう。

「敦賀像」を創造する

 皆さんは敦賀を県外の友人に紹介するとき、どんな街と表現するでしょうか。国内屈指の数の原子力発電所を持つ「原子力の町」、日本海側で最初に鉄道が開通した「鉄道の町」、北陸総鎮守の気比神宮が鎮座する「門前町」、古くは北前船、近代では欧亜国際連絡列車が経由した「港町」、どれも敦賀市のイメージとして相応しいものです。しかし、それぞれのイメージが独立していて、どれもがメインのイメージになり切れていないのが現状ではないでしょうか。2023年、敦賀市に北陸新幹線がやってきます。この千載一遇のチャンスに市民のブランドイメージが統一されていないというのは大変由々しき事態です。旅行先を選ぶ時、明確なイメージが浮かぶ街は観光地として優秀です。沖縄であるなら「南国の海」、京都であるなら「古都」、横浜であるなら「港と赤レンガ」、北海道であるなら「広大な大地」。そのイメージは訪れる側も、受け入れる側も共通しているからこそ、ブランドイメージがさらに高められていくのです。ではブランドイメージはどのように作られるのでしょうか。もともとの観光地をピックアップするのか、自治体や企業がレジャー施設を建ててイメージを作るのか、しかし敦賀市にはそのどちらも確たるものはありません。ならば市民の力で作り上げるしかないのです。そしてそれを成しえるのは、純粋に街の事を想い、行動する団体である青年会議所こそがふさわしいと言えます。まちのビジョンとは、市民にとっての未来図です。市民が思い描く理想の未来に到達するために、我々は明確な地図を描き、導かなければなりません。その為の一歩を、しっかりと踏みしめてまいりましょう。

青少年の危機

 発達心理学者エリク・ホーンブルガー・エリクソンが提唱した心理社会的発達理論によれば、人生は8つの段階に分けることができ、その段階ごとに課題が存在し解決することで修得すべき学びがあるとされています。これらの課題は漫然と日々を過ごしているだけで、解決できるものではありません。逆に個人で勉強に打ち込んでいれば解決できるものでもありません。社会を通して、親子関係、友人関係を通して、すなわち人の輪の中にあって初めて得ることが出来るものなのです。
 エリクソンは心理社会的発達理論で、発達段階で得るべき課題は、その時期にしか得られないと言っています。そして現在に目を向ければ新型コロナウィルス感染症の拡大は、社会全体に大きな影響を及ぼし、教育現場もその例に漏れていません。新学期の開始が遅れ、夏休みが短縮され、通常のカリキュラム通り授業を行うことが難しい状況となっています。さらに地域の夏祭りや各種団体による体験イベント、さらに部活動やスポーツ少年団の大会の中止により、青少年は現在、座学面でも体験面でも学ぶ機会が大きく削られています。座学面の学びの遅れは後々の学習で補完することは可能ですが、体験面での学びの遅れは補完することのできないものです。だからこそ、この時期に体験が極端に減っている事実は、青少年に大きな影響を及ぼします。我々は社会の一員として、敦賀市の未来を担う子供たちの危機的状況をただ見ているわけにはいきません。これまで通りの関りが出来ないのであれば、これまでと違うチャレンジをするのが青年会議所であるべきであると私は考えます。次世代の為に知恵と勇気を振り絞りましょう。それが、我々の子どもたちの世代への、更にその次の世代へ贈る誠実な行動であると確信しています。

持続可能な組織

 青年会議所には多種多様な会員が在籍しています。そして青年会議所活動の中では、会社の役職や地位は一切関係なく対等の立場となります。かつて青年会議所では、出席することが最も重要であるという考えがありました。しかし、いついかなる時でも自由に時間を作ることが出来る人間はほんの一握りです。あるときは会社の為に、取引相手の為に、家族の為に、一人の人間が使うことが出来る時間は有限です。政府の提唱する働き方改革が、まだまだ不十分なこの現状において仕事外の活動である青年会議所活動に100%参加することは困難であると言わざるを得ません。ならば、我々は衰退する一方なのでしょうか。そうであっていいのでしょうか。私は出席率に依らない活動こそが重要であるという結論に至りました。もちろん、会議に出席することは重要ではあり、基本的に参加する姿勢は必要ですが、それが仕事や家庭に影響を与えてはなりません。しかし、会議に出席せずともできるのがJC活動です。理事会に参加する理事メンバーを例に挙げれば、会議に出席できない状況であっても、議案を読み込み意見することは可能です。綿密で分かりやすい資料作りは会議時間の短縮に繋がります。さらに委員会内で事業を完璧に共有すれば、資料説明が本人でなくても問題はありません。逆説的に言えば、そこまで議案に向き合うことができれば、出席に向けて最大の努力をするのです。昨年から始まった新型コロナウィルス感染症の拡大は皮肉にも、ICTを活用した会議の可能性を広く世に知らしめました。たとえ現地で会議に出られなくとも、遠隔で会議に参加できる環境を整えることで、会議に出席できる可能性を高めることも可能です。敦賀青年会議所が歩んだ60年間、多くの変革がありました。会議資料は紙ベースからPCを持参する方法に変わりました。各種連絡は固定電話やファックスから携帯電話になり、現在ではメールやラインを活用するようになりました。青年会議所も時代に則した組織として、未来永劫持続可能な組織として発展していきましょう。青年会議所の事業は仲間と共に創り上げ、実施していくものです。理事であれ、委員会メンバーであれ、それぞれの立場の人間が全力で修練に立ち向かい、支えあい、事業に向き合ってこそ初めて得られる友情があります。仲間に頼られる経験は自信へとつながり、信頼をもって共に活動することで深い絆となるのです。人生において、心から信頼できる仲間とはそう多く出会うことはできません。青年会議所にはそのような仲間に出会う機会が数多く用意されています。その出会いと成長の機会を、自らの手でつかみ取っていきましょう。

会員の誰もが活動の価値を実感する

現在、青年会議所は全国的に会員減少の傾向にあります。敦賀青年会議所もここ数年、50名弱と言う会員数を維持していますが、増加させることはできていない現状です。これは決して青年会議所の活動の価値が下がったということではなく、20歳から40歳までの青年世代の社会的負担が増し、青年会議所活動にかける時間と労力が割けなくなり、社会活動への意欲が低下した人が増えたと解釈すべきです。それでは青年会議所の活動の価値とは何でしょうか。それは青年会議所の目的である明るい豊かな社会の創造に他なりません。企業は社会に寄与することによって対価を得て、経営をしています。企業が所属する社会が暗く貧しいものであるならば、当然企業の業績も低下します。そしてその影響は現在を生きる今の会員のみならず、その子どもの世代、孫世代にまで影響を残すこととなります。だからこそ、我々は社会と言う土壌を耕し、整備し、種を蒔き、水を与え、明るい豊かな社会を創造するのです。敦賀と言う畑がもし、何も育たない不毛な大地となった時、我々は子ども達に顔向けすることが出来るでしょうか。そこに住んだ先人となる我々が、「あの頃にああしておけば」と言われていいのでしょうか。私は嫌です。会員の誰もが活動の価値を実感できる運動を行うことで、会員拡大が進み組織は豊かになります。組織が豊かになれば地域に与える影響力は大きくなり、敦賀市が豊かになります。JAYCEEは自己研鑽を積まなければなりません。それは自分の為のみならず、所属する会社の為、組織の為、そして社会の為に研鑽を積むのです。だからこそ我々は今こそ、会員一人ひとりが活動の価値を実感できる事業を行わなければならないのです。

結びに

 青年会議所の会員は様々な理由で入会し、活動に勤しんでいます。青年会議所の活動は、まちの為に貢献し、青少年を育成し、自分自身を成長させる素晴らしいものです。しかし、人間は様々な場面に遭遇し、想いが揺らぎ、モチベーションが下がる日もあります。だからこそ、支えてくれる仲間が重要であり、互いに高めあいながら成長することができるのです。
 我々は青年です。そして青年会議所は挑戦を受容します。完璧な例会事業など存在しません。役職を完璧に全うできる人間など存在しません。もし存在したら、その人の成長はそこで終わってしまいます。

「今を戦えない者に、次や未来を語る資格はない」

ロベルト・バッジオ(元サッカーイタリア代表)

今、世界はパンデミックにより多くの困難を抱えています。今だからこそ、我々はこの困難と向き合わなければなりません。立ちはだかる壁はあまりにも大きいかもしれません。しかし、困難と戦わなければならないときは今なのです。さあ、仲間と共に立ち向かいましょう。
 次の世代の為に。
 敦賀市の未来の為に。

基本理念

信念を持った活動で市民の心を1つにし、“つるが”の未来に希望を芽吹かせる

基本方針

  1. 北陸新幹線敦賀延伸に向けた観光エリアの魅力を市民が認知する事業の展開
  2. 青少年が必要な体験を得る機会を創出する事業の展開
  3. 社会人としての能力を向上させる事業の展開
  4. 会員の誰もが活動の価値を実感できる事業の展開
  5. 会員同士の仲間意識の向上と絆を深める事業の展開
  6. 新しい固有性を持つJAYCEEの発掘と育成のための事業の展開
  7. 全面的な新型コロナウィルス感染症拡大防止の視点を取り入れた事業計画の強化
  8. 公益社団法人基準に則った事業の展開
  9. 行政、他団体とのさらなるパートナーシップの強化
  10. 日本JC、地区、ブロックへの支援連携
  11. 日本JC、地区、ブロック事業への積極的参加
  12. 60周年記念事業への運営支援

委員会構成 1実行委員会 2委員会 2局

まちづくり委員会

 2023年春に開業予定の北陸新幹線敦賀延伸。あと2年弱と迫った状況ではありますが、この千載一遇のチャンスに敦賀市民はどこか上の空になっている現状があります。金沢市の例を見ても、新幹線開業と一時とはいえ終着駅となる影響は大きなものがあります。敦賀市をただの乗換駅としない為にも、敦賀の町中に降りてもらう工夫や市民によるおもてなしというものは観光において必要不可欠です。駅から徒歩圏内である金ヶ崎エリア、気比神宮エリアは観光地として、非常に期待されており、そこに至る国道8号も含めて敦賀市による整備が進んでいる状況にあります。しかし、市民はどうでしょうか、ムゼウム新設、国道8号1車線化、駅西エリアの開発を別個にとらえていないでしょうか。観光する側とされる側に意識の乖離があれば、そこには必ず問題が発生します。我々は、新幹線が敦賀に延伸される前に、市民の意識を統一しなければなりません。敦賀市の新たな観光エリアとして、まずは市民に認知していただき、そのうえで市外、県外、国外に周知する必要があります。市民全員が「敦賀市のイメージはここ」と言える場所を作りましょう。市外、県外、ひいては国外の方にすら、敦賀市ときいて浮かぶイメージを創出する事業を展開してまいります。

青少年育成実行委員会

 現在、青少年の置かれている状況は、新型コロナウィルス感染症拡大によって数年前とは大きく変わっています。移動自粛や密集回避の要請により、部活動やスポーツ少年団の練習、大会なども大きな制限が出ています。世界的な取り組みとして新型コロナウィルス感染症の拡大を封じ込める取り組みとしての密室、密集、密接の回避は、一般的な体験イベントや部活動といった人の輪の中で学ぶ活動にとって大きな足枷となります。そこで重要となるのは少人数での体験活動です。少人数グループや家族単位での体験活動などを通して、現在希薄となっている体験における学びを青少年にもたらし、青少年の健全な成長を促さなくてはなりません。
そしてそれは一時的なイベントだけでなく、各家庭で体験の機会を増やさなくてはならないということでもあります。大人が経験してほしいことと青少年が経験したいことの乖離は、少なからず起こるものです。そして、青少年を対象とした事業は、参加者が自立して初めて意味を成す場合が多く、成果の確認が難しいという特徴があります。だからこそ、青少年には多種多様な経験が必要です。数多くの体験を通して、青少年自身が必要な経験を取捨択一し、自分の糧としていくことが重要なのです。我々は、体験を通した学びの重要性を周知喚起し、青少年が体験による学びの機会を得られる事業を展開してまいります。

会員拡大研修委員会

 2020年度、世界的なパンデミックとなった新型コロナウィルス感染症による影響で、我々が所属する敦賀青年会議所においても多数の例会事業が中止や計画変更が余儀なくされました。その影響で理事メンバーをはじめとする実働を行うメンバーと理事メンバーの指示を受け参加するメンバーの間にある事業参画意識の差が顕著になっています。ではなぜ会員は青年会議所に所属しているのか。入会の理由は様々ではありますが、根底には自身の成長による会社や社会への貢献があります。事業参画意識の低下は、事業に参加しても成長の実感が得られないと会員が感じてしまっている現実があると考察されます。そしてそれは、会員拡大にも大きな影響を及ぼします。自身が成長を実感できない組織に、自分の大切な友人や知り合いを誘うでしょうか。答えは明確です。
 さらに、会員拡大の方法についても岐路に立たされている現状があります。これまで直接お会いして新入会員候補者を勧誘する方法をメインに行ってきましたが、企業方針として新型コロナウィルス感染症拡大防止の為、なるべく人と会わないことを定めている企業も少なくありません。そのような人たちにどうやって会員拡大を行っていくのかを会全体として考えていく必要があります。本年は、既存の会員に青年会議所の価値を実感していただき、自信をもって紹介できる組織へと成長できる事業を展開してまいります。

事務局

 全ての団体において、総会とは最も重要な議決機関であり、組織の方向性を定める最終決定機関でもあります。しかし近年、総会への参加人数は減少の一途を辿っています。
我々は改めて総会とは何たるかを会員に示さなければなりません。そして時代の変化と共に青年会議所を包む環境も変わっていきます。組織を運営する事務局は最も柔軟にその変化に対応していかなければなりません。対外的な窓口としての機能はもちろん、日本JCをはじめとする地区ブロック事業への参加や各種調整を行い、公益社団法人格を有する団体として恥ずかしくない姿を示す必要があります。青年会議所の組織運営は厳格であるべきです。だからこそ、事務局は最も厳格でなくてはなりません。敦賀青年会議所を運営しているのは事務局であるという自負を持って、厳格な組織運営を行ってまいります。

財政局

 財政局は本年、新たに新設した局です。財政局では財務諸表の作成、指導、コンプライアンスの精査、事業における財政バランスの確認など、敦賀青年会議所が行う金銭を伴う活動を審査、指導する局となります。特にコンプライアンスの精査については、公益社団法人として、そして青年会議所を名乗る団体として、敦賀市の市民団体としてなど、様々な視点が必要となります。財務状況の透明性が高い団体は、それだけで社会的信用度が上がります。市民から信用され、頼られる団体の足元を守る存在として、厳格な財政管理を行ってまいります。